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村上小説と私の、微妙なバランス関係

再び村上春樹。

アメリカに行く前に空港で買った短編集、「レキシントンの幽霊」を少しずつ読み始めた。

これは・・・決して気分転換に読むような本ではない。少なくとも私にとっては。

夜時差ボケで眠れないな~と思って「短編を一つ読んで寝よう」としたら、・・・とんでもない。短編なのにどんだけ深いんじゃい。氷男・・・

しかも自分の深層心理にどかん!とくるから、気分転換どころか、転換しすぎて、どーんと落ちる。やっぱりその効果は昔から変わらないな~、恐るべし村上春樹。耐性がかなり出来てきたんだけど、でもやっぱりちょい落ちそうになる。危ない、危ない。寝れなくなるから翌日仕事にならないじゃないか。

どぶーんと落ちたい瞬間、時、日もあるけれど、どぶーんと落ちてはいけない日もある。そういう月もあるし、そういう年もある。たぶん自分がよく知っているものなのだろうけど、その微妙な心のバランスを制御していきていくことが必要。私にとって村上小説は、深くもぐっていけそうな、無意識で守られているようなところもあり、逆にとても恐ろしく、中から剥ぎ取られる感覚のところもある。だからこそ、私はあえて全ての村上小説を読もうとしていないところがある。

・・・それでも、好き。でも、ダメなところがある。その微妙なバランスを崩さないように、興味をもっていたい。そうでないと、目を向けるべきところに目を向けることができなくなる。目を向けていたいところに、目が向かなくなることがありうる。

『レキシントンの幽霊』は、今レキシントン近くにいるから余計に響いたのかもしれないな。

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コメント

短編集、「レキシントンの幽霊」は俺も好きー。

特に、
緑色の獣 沈黙 七番目の男
はすごく好き!!

緑色の獣は、すごくシュールで、影との対決を感じる。
沈黙は、あの心理描写が素晴らしいし。
七番目の男は、あの波の光景を受け入れられるようになるプロセスが素晴らしい。

いやぁ、いまさら、村上春樹って最高だー
いつか会って夜通し話したいー

投稿: いなば | 2010年7月 2日 (金) 23時21分

>いなばさん
そうそう、この前も話したけど、いいよね~!
「緑色の獣」「沈黙」は読んでて息が詰まりそうで苦しかったな。なんか「ねじまき鳥」につながりそうな、恐ろしい気持ちになった。ただ、村上春樹氏の小説の大きな問いを扱っている内容のように感じたので、とても印象的でした。

「七番目の男」いいよね。
私はたぶんこれが一番好き。
どういう形でも、救いを感じられるのがたぶん自分にとってはいいのだと思う。人間という存在をあきらめたくないし、影の部分をあぶりだすのであれば、同時に光の部分を描き出していてほしい。
それはたぶん、自分のものの見方であり、自分の生きる軸として、変わらないものだからかな。

結局、私達は論理的であり、分かりやすい意味づけと筋立てをしてしまうから、勝手に喜んだり、必要以上に不安になってしまうのだよね。
「七番目の男」の場合は、恐怖と後ろめたさからくる論理付けで、完全に思考を閉じてしまった。
でも、それが、自分が作り出した恐怖であったと分かってparadigm shiftが起こるわけだよね。

いや~、すごく自分もハッとさせられたよ。短編集なのに濃密で面白かった。

投稿: ともこ | 2010年7月 8日 (木) 21時51分

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